愛知県名古屋市で認知行動療法を行うメンタルヘルスクリニック
パニック障害、社交不安障害、全般性不安障害、強迫性障害、うつ病、双極性障害に対応

パニック発作が再び生じることを恐れて、助けがすぐに得られないような環境、例えば電車の中や高速道路の運転、混雑した場所などを避けるようになる疾患です。再発作への不安を＜予期不安＞といい、特定の状況を避ける状態を＜広場恐怖＞といいます。

パニック発作とは、様々な心理的ストレスに反応して“パニックになってしまった”というような自覚とはやや異なり、突然の動悸、息苦しさ、嘔気、めまいなどの身体症状とともに「死んでしまうのではないか」など“発作の顛末”を恐れるような症状群です。ストレスが大きいと確かにパニック発作が起こりやすくなるのですが、パニック障害の方は“発作への不安”が強いために次々と発作が誘発される悪循環から出られない状態にあります。

32歳　女性

「息苦しくなる発作が怖くて地下鉄に乗れない」

食事の後に家族でテレビを見ていた時、急に猛烈な動悸とともに息苦しさ、喉が詰まるような違和感が生じて、みるみるうちに手足が冷たくなり、めまいを感じて、冷や汗をかいてきた。病み上がりであったため体調が万全ではなかったと思い、しばらくベッドで休んでいたところ30分もしないうちに落ち着いてきた。

その後は特に不安もなく生活していたが、10日後に地下鉄に乗って買い物に行く途中、地下鉄のドアが閉まった瞬間に一瞬“血の気の引くような”違和感があった後、一気に動悸と息苦しさが出現した。いくら息を吸っても“入っていかない”感じになり、途中下車して夫が救急要請。救急車に乗った瞬間に“すっ”と楽になり、救急病院に受診したが頻脈以外の異常は指摘されなかった。自身では体の異常を確実に感じていたので、異常がないと聞いて安心したような腑に落ちないような思いであった。

それからは地下鉄に乗るのが怖くなり、乗らないようにしていたが、ショッピングセンターなどで人が多いところなどでは、息苦しさなどを感じることが頻繁になった。そのためすぐには逃げられないような公共交通機関、特に新幹線、飛行機、特急電車には全く乗らなくなり、運転もほとんどできなくなり、高層階へのエレベーターにも乗らなくなった。外出する時にはできるだけ夫に付き添ってもらうようになった。

SSRIなどの抗うつ薬が予期不安の軽減に役立つといわれています。適切な薬物療法によって病状の改善が促進されます。まずは薬物療法を考慮するのがよいでしょう。
しかし広場恐怖の対象になるような特定の状況を避けるという行為（回避行動）が“パニック発作への不安”を維持します。パニック障害という疾患のメカニズムを学んで、回避行動を減らすために認知行動療法が有効です。