SADとは他の人との関わりの中で、“否定的に評価されること”を恐れて人付き合いが苦手に感じる病気です。多くの方は人から注目されることを恐れて、手が震えてしまう、声が震えてしまう、ひどく汗をかいているのを見られてしまう、顔が赤いのを見られてしまうことによって、“気が小さいダメな自分が相手にバレてしまう”と思ってしまいます。初対面の人が苦手な方も多いのですが、より典型的なSADの方は“次に会う機会がある人”の方が苦手です。なぜかというと、“前に会った時よりも気の利いたことを話さないといけない”と思うからです。
人前での失敗を恐れて様々な工夫をするようになるのですが、この工夫がさらにSADの方を苦しめます。過剰に話題を準備してしまう、原稿ばかりを見て会場を見ずにスピーチする、手が震えないように脇を絞めて手に力を入れて話すなどの工夫がありますが、結局は臨機応変にその場に対応できず、ますます“失敗した”という気持ちが強くなります。
- HOME
- こんな症状でお悩みですか?
- 症状E 「社交不安障害(社会不安障害)」
- 人前に出るときのことをかなり前から心配してしまう
- 赤面とかどもりで気の小さい人だとバレてしまう
- また次に会う人だと思うとますます緊張する
- 初対面の人に会うのは比較的楽に感じる
- 本当の自分は明るいし人付き合いも好きなのにと悔しく思う
- あの時は上手く話せなかったんじゃないかといつまでもクヨクヨと考える
- つまらない話しかできないと思われるのが怖くて、話すことを準備している
- 準備をしているから意外な話をされると頭が真っ白になる
- 一生懸命相槌を打つけど、実は全然頭に残らない
- 人と会うと疲れがひどい
-
-
31歳 女性
「子供の母親同士のつきあいが苦手で困っている」
高校2年生の時に、仲の良かった友人と話していた時に顔が赤いことを指摘されたことがあった。自分では別に緊張していたわけでもないけれど、その時に話していた内容でまるで“場違いに照れている”ように思われていると考えたら、ますます緊張が強くなってしまった。その後、仲の良い友人でも、自分の話をする時などは特に極端に緊張するようになった。
大学在学中も数人で雑談するような状況はとても苦手で、次第に友人関係も限られていった。しかし学業や就職面接などは“やることが決まっているから”意外と難なくこなしてきた。結婚後に退職して、友達づきあいも少なくなったまま、子育てを頑張ってきたが、子供が2歳になって近所づきあいも増えてきた。自然に“ママ友達”ができたのだが、仲良くしたいのに久しぶりに“あの過度の緊張”がでてしまい、このままでは息子に申し訳ない気持ちであった。
“本当の自分はもっと明るいのに”という思いもあり、なんでこんなことが続いているのかとつらく感じていたが、どうしても自分の話はできずに友達の中にいてもいつも愛想笑いをして、ますます孤立している気持ちであった。 -
SSRIなどの抗うつ薬が“周囲からの評価への過度な関心”を軽減するといわれています。薬物療法によって対人関係に積極的になるなどの変化が得られることも多いです。
その一方で、SADの症状が“他の人からどのように見られるか”の不安によって成り立っているので、他の人と関わることの分析ときっかけ作りが必要になることがあります。対人関係でどのような考えを持ちがちであるかを考えて、行動を変化させていくために認知行動療法が役立ちます。